読書録:史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち

私のお気に入りの読書会で紹介されていた本。哲学をわかりやすく解説してくれていそうだったので、読んでみました。

一言でいうと、「面白くて、分かりやすい!」

著者は飲茶さん。

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哲学には大きく分けて西洋哲学と東洋哲学があるようなのですが、西洋哲学と東洋哲学は、いでたちが全く違うそうです。

西洋哲学は、知識をベースに体系的に説明しているもの。そして先人が築き上げた哲学に対して、階段を上るように発展させていったもの。

それに対して東洋哲学は、優秀な人が「私は悟った」という。ただしこれは抽象的で理解に苦しむケースもある。それを後世の人たちが「○○さんが唱えた○○という教えをわかりやすく説明すると…」という風に解釈を解説するという形で発展していっているそうです。

いずれにせよ、哲学を学ぼうと思えば、「哲学史」を学ぶことで理解が進むそうです。

出なければ、いきなりとある人の哲学を勉強しても、全12話のドラマの8話から見るようなもの。

1~7話を知らずに8話を見ても理解できないのと同じ。というのはとても分かりやすい解説でした。

今回の本は3章に分かれていて、1章インド、2章中国、3章日本。

1章では、インドで生まれたインド哲学を、それを提供した3人の人とともに解説。この思想がとにかく難しいのですが、わかりやすく一言でいうと「この世の中で見ているものはすべて、「自分の解釈」によって見ているに過ぎない。元をたどると何もない。無。そのことに気づく=悟りを開くことで執着がなくなるよというもの。

※正しく解説できているかはわかりません><解釈違っていたらごめんなさい。

とにかくこの思想が難しいので、とにかくいろんなたとえ話を使ってわかりやすく説明してくれているので、なんとなく理解できるのではないでしょうか。ただ、うまく説明ができないということは、私自身の理解も甘いのかもしれませんね…。

第二章では、中国の思想家について説明。なお初めに中国で生まれた思想「儒教」は、インドの思想とは真逆だそうです。

孔子が唱えた「仁」と「礼」を大切にしようという考えなのですが、その後仁と礼をそれぞれ「孟子」と「荀子」が発展させていきます。また、孔子の思想を否定する形の墨家という考え方が、墨子によって提唱されます。

その後長い時を経て、インド仏教の考え方が広がっていく。「老子」はその仏教の考え方を聞いて、まさに自分が考えていた思想とはこれだと気づき、インドで修行して中国に持ち込んだ。それを秦の国の王が聞きつけ、自分の国の考えに取り入れ、普及していくとのこと。

そして、中国で広がった仏教は、聖徳太子の力によって日本でも普及し、日本に合う形で広がっていったのだそうです。

本を読んで感じたのは、中国では、こういった思想は国の王など権力者の間で取り入れられた話が中心だったのですが、日本ではどのようにしてその考え方が民衆に取り入れられていったのか、を歴史に沿って解説しているところが面白い。中国でも同様に民衆にも広がっていったのだとしたら、どのようにして広がっていったのかは気になるところです。が、そこまでは本に書かれていませんでした><

 

私が本を読んで得た学びは

・自分が見ているもの、感じているすべては、自分の解釈によって生じたもの。自分の身に起こっていることは、自然発生的に起こっている。コントロールできないのだよ。だから、そういった感情に執着したり、一喜一憂することなく、生きていくことが大切。

→これに近い考えとして、自分を客観視することなのかなと思いました。特に、つらい悲しい苦しい怒りといった一見するとネガティブな感情。これらを感じ切った後で「あー自分今こういう風委感じているんだ」と自分の感情を外から俯瞰してみること。

これが、現代風の「悟り」なんだなという風に思いました。

・東洋哲学にある「知識よりも実体験」というもの。現代においては「知識」を身に着けることも大切だし、「体験」することも大切だと思う。両方大切。

ただ、自分に置き換えてみたときに、自分自身は「体験」をしないと、自分のものにならないという感覚は強い。だけれども、体験することが怖くて、ついつい知識ばかり詰め込んでしまいがち。だから、恐れることなく体験しようって思った。

知識をつけることに陥りがちだという癖を理解して、「体験する」ことに意識を向けよう。